2019年09月16日

海が轟いています

9月16日(月)
池田理代子です。

起きて窓を開けると、鳥たちの声を押しのけるように海の轟が飛び込んできます。
岩場に真っ白に砕ける波に、しばし時間を忘れて見入りました。
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今日は、村田の出演する『トムとジェリー』最終日。
稽古も含め、ずっと東京のホテル暮らしで、暫く離れていて寂しかったです。
自分でコインランドリーで洗濯をするのも楽しいと言っていましたが、そろそろ疲れがたまってきているのではないでしょうか。
今日はひとまず東京公演の打上をして、明日、熱海に帰ってくる予定です。

先日、初めて対面したフィンランドの若き作曲家Eetu君も、12日の初日を見に来てくれました。
大変好奇心が旺盛で知的で、そして物静かな彼は、何となくひと昔前の日本のシャイな青年を思い出させます。
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日本の文学に初めて興味を持ったきっかけが、夏目漱石の『こころ』だということで、なまなかな日本人よりよほど日本文学には詳しいです。
彼が留学していた東京音楽大学大学院の卒業作品は、藤原定家の歌でした。

様々な日本の一流文化人たちが集まる(って、自分もメンバーに入っているのに口幅ったいですが)元文化庁長官主催の定期サロンに連れて行ったのですが、同じテーブルの方たちと、流ちょうな日本語で、臆することもなく渡り合っていました。

彼と作る新作オペラ『眠る男』は、再来年フィンランドで日本語で上演されます。
主役の「眠る男」を、村田孝高が歌うことになっています。


12日の『トムジェリ』で一緒だった、森家さんたち、いつも村田の応援をしてくださる後援会の面々たちと、「みんなでフィンランド初演を観に行こう!それまでは元気に生きていよう!」と誓い合いました。

来年三月には、またイタリアとバチカンで、今度は『第九』の演奏があります。
そしてその次の年はフィンランド・・・と、そうやって具体的な近い目標をもって、日々を生きるようになりました。

かつて共に、ハンガリーやウィーン、スペインなどに歌いに行った仲間たちも、一人欠け二人欠け・・・逝ってしまったあの人この人の顔が、しきりと思い出されます。
何とか今いるみんなで、無事に揃ってフィンランドまで行きたいものだと切実に思います。
私は何としても、自分が書いた新作オペラの初演で、村田孝高が歌う姿を見届けたいです。
posted by riyoko at 16:04| Comment(1) | 日記