3月10日(金)
池田理代子です。
先月の末から、カンボジアに行っていました。
ヴァン・クリーフの講演会で仕事をして、そのまま寝ずに羽田に行き、真夜中の便で飛んだので、ものすごく疲れ、つくづく歳を感じました。
カンボジアは、もう既に中国が大々的に侵入してきて、一帯一路にすっかり飲み込まれ、貧富の差は25年前に私が行った時よりも大々的に広がっているという印象を受けました。
ポル・ポトの文化人大虐殺から、まだ十分に立ち直っていないという印象です。
ちょうど天皇誕生日を祝う大々的なパーティが、在カンボジア日本大使館で開かれ、招かれたのですが、きっと中国と上手に付き合っていける人たちだけが、ここに集まっているのかな・・・という印象を受けました。
私は、メコン川を見られて、ちょっと感激でした。
翌日から、朝六時車で出発で往復12時間という強行軍で、アンコールワットに出かけました。
25年前のあの頃、地雷で手足を失い、物乞いに集まってきた子供たちが、今どうしているかと気になって仕方ありませんでした。
あの頃、私の人生観を根底から覆した、アンコールワットです。
「壮大な滅び」という概念を植え付けられましたが、今では、観光用にすっかりきれいに整えられ、あの、ジャングルの中の大寺院の威容は、ずいぶんそがれていました。
いまだ貧しい暮らしを送る村の真ん中に、中国が作る大ハイウェイが突然現れたりして、衝撃でした。
さて、来月4月17日には、国際フォーラムCで、恒例の『バチカンから日本へ』第九コンサートが開かれますが、その前半に、私が台本を書き薮田翔一さんが作曲をしたオペラ『女王卑弥呼』の一部が上演されます。
20年ほど前、歌舞伎俳優の中村福助さんの発案で、彼のために書いた脚本ですが、紆余曲折を経て、2025年には漸く全編上演の運びとなりそうです。
長い長い歳月でした。
今回は、その一部だけの合唱とアリアですが、それでも私には素晴らしい成果です。
是非皆さん、第九とともに聴きにいらしてください。
そろそろご案内も差し上げております。
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